目次ほたる 「記憶のはしっこ」#14
8 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の14回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#14
8 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の14回目です。
朝方や夜は寒くても、日中は陽の光の暖かさを感じるこの季節が好きだ。
なにより、お散歩しながら写真を撮るのにぴったりな季節だと思う。
私は2〜3日に1回くらいのペースで、外に出て写真を撮りにいくようにしているのだけど、夏の間はあまりに暑くて、とてもじゃないが長時間は撮っていられなかった。
それが最近は涼しくて、どんどん歩けてしまう。
しかし、お散歩というのは、歩いた道のりがあれば、必ず帰る道のりが待っているのだ。
それを忘れて、足が疲れるまで歩いてしまうから、毎回ヘトヘトになって帰ってくる。
ある意味で、危険な季節なのかもしれない。
家で一人で仕事ばかりしていると、猫か風景か料理ばかりを撮ってしまう。
11月は人を撮る予定があります。ぜひ見ていただけますように。
(しかし、まだ人を撮るのに慣れていないからか、不安な気持ちが強い)
毎年冬になると、なぜかすごく太りやすくなるものだから、今年は早くから対策をとることにした。
それが、「スープ作戦」
野菜をたっぷりと入れたスープを食べることで、炭水化物などの太りやすい食べ物の摂取を控えようという魂胆だった。
善は急げと、スーパーで数種類の野菜とトマト缶を買ってきて、細かく切って、鍋に放り込む。味付けを終えると、キッチンに置かれた、もち麦を手にとった。(もち麦とは、なんだかモチモチとした食感の穀物だ)
「あんまり食べなさすぎるのも、カラダに悪いよね」
そう思って、スープの鍋にもち麦を多めに入れる。
予想より美味しくできた完成品を軽く食べて、その日は寝てしまった。
すると、スープは、翌朝にはなぜか立派なリゾットに変貌していたのだ。
もち麦がスープの水分をほとんど吸ってしまったらしい。
柔らかくなったもち麦を咀嚼すると、トマトスープの味と絶妙に合っていて美味しい。
が、しかし、私はサラリとしたスープでヘルシーな朝を迎えようと思っていたのだから、こんなはずではなかったのだ。
「まあ、これも悪くないかな」と適度に自分を誤魔化しつつ、目の前のリゾットを啜った。
先日、中学校の同窓会のLINEグループに招待された。
そういう招待はてっきり、ハガキかなにかが届くものだと思っていたから、「そうか、今はLINEで同窓会のやり取りをするのか」とびっくりした。
グループに入り、メンバーを確認してみると、懐かしい名前が次々にあらわれる。
私は昔から人付き合いが得意でなかったから、中学時代の友人は少ない。
けれど、こうして時間が経ってからでも、名前を見ただけで、同級生の顔や性格が頭の奥で浮かび上がってくるから不思議だ。
それからも、たまにグループにメンバーが増えるのを確認しては名前を見て、記憶を呼び起こしている。
この前まで咲いていた金木犀の花はもう散ってしまっていて、今日は地面に熟れた柿の実が落ちていた。きっと秋はオレンジ色をしている。
「小さめのクロワッサンを作ろう」と話していたら、あまりにも小さくなりすぎたときの写真。
この連載が始まってから、「せっかくだからカメラの基礎を勉強しよう」と思い立ち、YouTubeや本を使って、カメラの使い方や写真に関する知識を調べている。
レンズの違いや使い分け、ISO、F値など、カメラに触れるまできっと一生知らなかった単語や考え方が次々に出てきて、驚いた。
世の中のカメラ好きな人は、こんなに複雑なことを理解して使っているのだと思うと、頭が下がる。もっと勉強して、カメラや写真のことをちゃんと知っていきたい。
撮影・文 目次ほたる