目次ほたる 「記憶のはしっこ」#17
9 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の17回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#17
9 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の17回目です。
1人で写真を撮るのは楽しいが、やっぱりそろそろ寂しくなってきた。
もちろん1人でいることで、誰かに気を使うこともなく黙々と撮り歩けるのはいいけれど、それだけではつまらないないと思い始めていたのだ。
そこで、「一緒に写真を撮りに行ってくれる人、あわよくば、被写体として写ってくれる人」を募集したところ、以前からお世話になっている写真を撮る人(カメラマンという言葉が、私は得意ではない)の「かのうさん」から連絡をいただいた。
かのうさんとは、もう3年以上前からの知り合いで、もともとは私がポートレート写真を撮ってもらっていた。
今まで写る側だった私が、彼を撮るのはなんだか不思議な気持ちだったけれど、せっかくだから被写体もお願いすることにした。
今回は、そんな写真散歩を終えてのレポートだ。
行った先は、横浜・みなとみらい。
いざ行かん。
横浜・馬車道で待ち合わせをして、まずはお昼ごはんを食べた。
いい写真を撮るためには、おいしい食事で腹ごしらえをするのが大切な準備だと思う。
私はお腹が空いていると、街中にある飲食店や食べ物の写真ばかりを撮ってしまう傾向があるからだ。
かのうさんが探してくれた定食屋さんで、海鮮丼を食べた。
お腹がいっぱいになったところで、散歩の始まりだ。
写真は、散歩をしているときに見つけた「警戒船」。
そもそも警戒船って、なんなのだろう。
別々の距離感、別々の幸せ。
彼女のカメラの先になにが写っているのか、一緒に想像してみませんか。
誰かと複数人で写真を撮りにいく良さは、「自分以外の目線」を知れるところにあると思う。
自分では見つけれないような景色や、新しい世界の色や形が、隣に立つ人の目に映っているかもしれないのだ。
かのうさんがレンズを向ける先に、じっと目を凝らした。
愛なくして写真は撮れないと思う。
それは、写るものに対する愛もだけれど、カメラを握る自分自身に対しても、然り。
ある人は「ポートレートを撮るとき、何日も前から、写ってくれる人のことばかり考えてしまう」と話していた。
写真は、目の前のものしか写せないけれど、そこにあるものはすべてを写してしまうのかもしれない。
緑が似合う、かのうさん。
かのうさんは、フィルム写真、特にモノクロフィルムで写真を撮る。
そんな彼にならって、最後はモノクロの写真を。
モノクロ写真は、見るのは好きでも、自分で撮るのはなかなか難しい。
色彩のもつ情報量を失うと、
自分の撮る写真の「粗」のような部分がごまかせなくなるのだ。
しかし、それでもモノクロで撮ってみたくなるのは、
光と影だけで区切られた世界に、色褪せない美しさがあるからだと思う。
撮影・文 目次ほたる