目次ほたる 「記憶のはしっこ」#29
9 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の29回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#29
9 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の29回目です。
ここ数日、動物を撮りたい衝動にかられて困っていたので、人が少ない時間を狙って、東武動物公園に行ってみることにした。
なぜ東武動物公園を選んだかというと、この写真にも写っているヘビクイワシがいると聞いたからだ。
ヘビクイワシとは、サバンナや草原に生息する鳥類で、地上を歩いて徘徊しながら狩りをするのが特徴だ。蛇や小型哺乳類を長い足で踏みつけて捕食するという、珍しい狩りのスタイルから、この名が付けられたらしい。
長い風切羽を揺らしながら、細い足で歩く姿を初めて動画で見たときは、本当に感動して、近々この鳥に会いに行きたいと思っていたのだ。
念願の実物を見たときはあまりに美しくて、思わず「撮らせていただいてもいいでしょうか」と敬語になってしまった。危うく不審者になってしまうところだったが、それくらい神々しいほどの美貌の持ち主なのだ。
檻ごしでは、なかなか全身を撮影するのは難しかったため、是非ヘビクイワシの全身写真も探して見てみてほしい。
前から、ゾウはモノクロで撮りたいと決めていた。
彼らの力強い姿と皮膚の独特な質感は、カラーよりモノクロのほうが映えると思っていたからだ。
さて撮ろうとしたとき、ちょうど砂を蹴ってくれたおかげで、スモークをたいたような写真が撮れて、ゾウさんに感謝した。
シマウマって、馬というよりもロバに近いらしい。
あと、肉食獣は縞模様をうまく認識できないから、天敵を混乱させたりはできないらしい。
水槽暮らしの友人。
「動物園でいい感じの写真を撮るんだー!」と意気揚々とカメラをかまえた私は、数回シャッターを切るうちに動物を撮る難しさに気がついて、その場で崩れ落ちそうになった。
自宅で一緒に暮らしている猫や、道端で歩いている鳩やカラスや、ご近所さんの犬など、私が日常生活で撮影できる人間以外の生き物はこれくらいのもの。
見慣れない形の被写体が絶え間なく動いているのに混乱して、「どんなふうに撮ろう」と考える間のなく、とにかくシャッターを押したのだけど、それではぜんぜん上手く撮れない。
(私は動物撮影を完全に舐めていた……)
そんなふうに反省してからは、もう「上手に撮ろう」とするのは諦めて、「とにかく動物と息を合わせながら撮ってみよう」と気持ちを切り替えてから、撮れた一枚。
こちらをくるりと振り向いて、草を咥えるヤギの顔は、なんだかいたずらっ子のように見えた。
ヘビクイワシの次の好きな鳥、フラミンゴ。
この鳥を見るたびに、私が小さい頃、「大きくなったらフラミンゴっていう名前の会社を作るの」と話したとき、「さすがにその名前はやめておきなさい」と母にすかさず却下されたことを思い出す。
足が長くて、綺麗な色の鳥が大好きなのだ。
昼寝の時間。
いつかの夢でみたような。
撮影・文 目次ほたる