目次ほたる 「記憶のはしっこ」#31
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の31回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#31
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の31回目です。

(撮影・Kodak C35)
今週は晴れている日が多かったおかげで、念願の春らしい写真が撮れた。
写っているのは、梅の花だ。桜よりも先に、甘い香りで春の訪れを伝える。そんな蕾が開くのを、私は毎年楽しみに待っている。
梅の花と言えば、「飛梅伝説」をご存知だろうか。
飛梅とは、福岡県太宰府市宰府にある太宰府天満宮の神木で、樹齢1000年を超えるとされる白梅だ。その飛梅には、こんな伝説がある。
舞台は平安。かつて平安貴族だった「菅原道真」は、朝廷内での政争に敗れて、太宰府に左遷されてしまう。そんな道真は、京の都にかまえた自身の屋敷の庭園に植えて可愛がっていた梅の花との別れを惜しんで、次の歌を読んだ。
「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」
(意味:東風が吹いたら(春が来たら)芳しい花を咲かせておくれ、梅の木よ。大宰府に行ってしまった主人(私)がもう都にはいないからといって、春の到来を忘れてはならないよ。)
話によると、毎年美しい花を咲かせていたその梅の木は、主人との別れの悲しみで、みるみるうちにその美しい姿を失い、枯れていったそうだ。
しかし、それでも主人を追いたい梅の花は、空を飛び、道真の待つ太宰府に降り立ったという。そのときの梅の花が、菅原道真が祀られている太宰府天満宮で、神木として今もなお花を咲かせているらしい。
毎年、梅の時期が訪れると、かならずこの歌を思い出して、道真を追った梅の心に思いをはせるのだ。

(撮影・写ルンです)
近所の写真屋さんで「写ルンです」のセールをやっているのを発見し、思わず買ってしまった。デパートにせよ、スーパーにせよ写真屋さんにせよ、とにかくセールには弱い。

(撮影・Kodak C35)
これは、庭で育てていたニンジンがいつの間にか大きくなっていることに気がついて、慌てて、引っこ抜いたときの写真。
「どうせ、たいして育たないだろう」と思って、テキトーに種をまいて、水もあげずに育てていたから、土から覗くニンジンの頭を目にしたときは、すごく驚いた。
しっかり間引きをしてあげれば、もっと大きくなっていただろうに、申し訳ないことをしてしまったと思う。
ちなみに採れたニンジンは、その日の晩ごはんに塩とオリーブオイルとバルサミコ酢で和え、キャロットラペにして食べた。新鮮な野菜はやっぱり美味しいとわかったので、今年こそ、ちゃんと栽培したい。

(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
繋がらない関係性。

(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
繋がる遠近感。

(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
この連載が始まってから、私の個人的なカメラが4台増えた。
「カメラは買い始めると止まらなくなるよ」と助言をくださった皆様へ。
「時すでに遅し」とは、まさにこのことです。

撮影・文 目次ほたる