目次ほたる 「記憶のはしっこ」#36
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の36回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#36
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の36回目です。
(撮影・Nikon F2)
写真をはじめて、もうすぐ1年になる。
毎週連載のために写真を撮っていると、自分で撮った写真のなかでもお気に入りのものがたまってきた。
試しに簡易的なフォトブックを作ってみようかと考えているのだけれど、あまり詳しくないので、どんなふうに作ろうか悩んでいた。
プリントしたものをアルバム形式にまとめてもいいのだが、せっかくならちゃんと印刷屋さんに頼んで、冊子の形にしたいと考えている。
印刷はどうにかするとして、大事なのはフォトブックの「テーマ」だ。
実は以前に、SNSで「フォトブックを作ってみたい」と話していたとき、あるフォトグラファーの方に「フォトブックを作るときは、編集が重要だよ。テーマに沿って写真を組み合わせていくことで、同じ写真でも新しい見方や意味が付与される」と、教えてもらったのだ。
写真を一連の流れとして、編集する。
今まで私は、写真を撮って、撮れたものをレタッチするなり画像編集して、連載やSNSに載せるところまでしか考えていなかったから、フォトブックに編集するという考え方には、目から鱗が落ちた。
また新しい写真へのアプローチができるかと思うと、ワクワクする。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
「フォトブックの編集」について考えていたとき、以前、知り合いに「組写真」について教えてもらったことを思い出した。
組写真とは、テーマに沿って複数の写真をまとめるという、写真の表現方法の1つだ。
複数の写真を組み合わせることによって、1枚の写真からは見つけられなかった作品に込められた意味や主張を、全体を通して発見できる。
知り合いは、そんな組写真の面白さを語ってくれた。
そんな話を思い出して、組写真を作る過程も、フォトブックでいう「編集」にかなり近いものだと思ったのだ。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
例えば、上のヤギの写真と、このウサギの写真。
前者では、光のなかで一匹のヤギがこちらを向いていて、どこか寂しさを感じる。
そして後者は、一匹のウサギが他の二匹から離れてポツンと座っている光景で、 こちらも同様の寂しさを感じる。
きっとこの写真を隣に並べれば、双方の写真の「寂しさ」の部分が強調されると思うのだ。
これが、写真を「編集する」ことではないかと思った。
自分の撮った写真を見るとき、1枚の写真に集中するだけでなく、複数の写真の関連性や相互関係を見つける練習をしていきながら、フォトブックの編集についてももっと考えていきたいと思う。
(撮影・Konica C35)
池袋にある重要文化財「自由学園 明日館」を訪れた。
ここは、大正10年に設立された女学校で、閉校した今でも館内を見学できるのだ。
アメリカが生んだ建築家、フランク・ロイド・ライトが設計した校舎は、無駄のないシンプルな直線美によって形作られており、生徒がいなくなった今も、その場に凛とした空気を漂わせていた。
本来は館内に入れるはずだったのだが、その日は結婚式で貸し切られていたため、外の通路だけ撮影させてもらった。
いずれ、また館内の写真も撮りに伺う予定だ。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
出会い、発見し、手を伸ばしても捕まえられない記憶を、心の内に留めおけるように。
(撮影・Nikon F2)
そういえば、最近コーヒーの軽いアレルギーになってしまった。
これから気温が上がって、アイスコーヒーが美味しい時期になってくるというのに、なんて口惜しい。
撮影・文 目次ほたる