目次ほたる 「記憶のはしっこ」#38
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の38回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#38
7 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の38回目です。
(撮影・Nikon F2)
今年の6月で、写真を撮り始めてちょうど1年になる。
最近は周囲の写真を撮っている方にも、「撮るのが上手くなってきたね」と褒めてもらえて、とても嬉しい。
思えば、写真を撮り始めた当初は「どうすれば写真が上手くなるのだろう」といつも考えていた。特にストリートスナップを撮っている写真家に強い憧れがあったから、「街を撮る」という行為について探っていたのだ。
そこで今回は、私が街を撮るときに気をつけていること、意識していることについて書こうと思う。
(撮影・Nikon F2)
まず私が一番最初に意識し始めたのは、「とにかく目を凝らして、身の回りの景色を観察する」ことだった。
「写真を撮るのだから、景色を見るなんて当たり前だろう」と思われるかもしれないが、あたりまえに日常を送っていると、辺りを注意深く観察するなんてことは案外少ない。
だから、目を凝らして見てみれば、新しい発見が必ずある。
例えば、自宅の窓から入ってくる光の色は、同じ日であっても時間帯によって全く違ったものになること。いつも通る道に生えた雑草は、よく見てみると可愛らしい形をしていること。飼っている猫の目が普段は緑色なのに、強い光に当たると糖蜜のような金色に輝くこと。
そういった、日常を取り巻く世界から新しい発見を繰り返していくことが、写真の上達に少なからず寄与すると思うのだ。
見えていなかったものは撮れないが、見えてしまえば撮れる。
観察することは、見える世界を広げ、撮れる世界に変えていくことなんだと思う。
(撮影・Konica C35)
次に気をつけたのは、「とにかくシャッターを切り続けること」だった。
あたりまえだけれど、カメラは持っているだけでは上手くなれない。下手だろうとなんだろうと、とにかく少しでも心の琴線に触れたものにレンズを向け、シャッターを切ることが重要なのだと思った。
シャッターを切り続けることで得られるのは、「カメラを通した世界に慣れる経験」と「構図を見る力」、そして「突発的に起こる奇跡への反射神経」だと今のところ考えている。
まずは、「カメラを通した世界に慣れる経験」。
カメラはあくまで機械だから、人体に搭載している眼球とは見え方が違うし、そこにレンズが加われば、レンズの性質によって見える世界自体がガラリと変わってしまう。
私は当初、この見える世界が変わることに戸惑った。綺麗だと思ってカメラを向けたものが、撮影するとその美しさの半分も残っていないというガッカリする体験を何度もしたからだ。きっと、その見え方への慣れと、現実と理想とを近づける技術が必要なのだと思う。もっと勉強していきたい。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
次に「構図を見る力」。写真を撮るときは、必ず画角が決まっている。
限られた画角の中で、何を写し、逆に何を写さないかを瞬時に判断するのが、構図の決定に深く関わってくる。
この判断能力は、構図の勉強はさることながら、撮る場数を踏んでいかないとわからないと思うのだ。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
そして、「突発的に起こる奇跡への反射神経」。
街は生き物のように日々変化していて、カメラを向けるとその変化の片鱗を垣間見せてくれる瞬間がある。その一瞬の奇跡とも言えるような場面を撮れるかどうかは、撮り手側の注意力と、即座にカメラを向けられる反射神経にかかっていると思うのだ。
わかったようにこの文章を書いているが、私はそんな奇跡のような瞬間に出会えたことはほとんど無いし、あったとしても撮り逃がし、後悔してばかりだ。もっと鍛えていきたい。
(撮影・iPhoneXs Max)
最後に気をつけているのは、「とにかく写真をたくさん見ること」だ。
アマチュア、プロを問わず、自分以外が撮った写真をどんなジャンルでもとにかくたくさん見るようにしている。
誰かが撮った写真には、必ずその撮り手の視線が残っているからだ。その人が何を撮りたくて、どんな写真を作りたかったのかを考えながら、自分だったらその状況をどうやって撮るかイメージする。
その時間の積み重ねが、自分のなかにあるイメージの引き出しを増やし、写真としてアウトプットしていく能力を上げると思うのだ。
ここまで色々と書いたが、まだまだ知らないことばかり。
この連載をご覧いただいている読者の方のなかで、自分ならではの写真の上達法を持っている方がいたら、ぜひ教えていただけたら嬉しいです。
撮影・文 目次ほたる
<プロフィール写真/撮影・中山文>
https://twitter.com/nkyn_photo