目次ほたる 「記憶のはしっこ」#39
6 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の39回目です。
目次ほたる 「記憶のはしっこ」#39
6 Photosモデル・ライターとして活動する20歳、目次ほたるが写真を通して、忘れたくない日々の小さな記憶をつなぐ連載「記憶のはしっこ」の39回目です。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
蒸し暑い日が増えてきた。つい最近まで肌寒かったというのに。
熱と湿気を透明の風呂敷で包んだようなこの時期の空気がどうにも苦手で、このあとやってくる梅雨への憂鬱さが増すばかりだ。そもそも雨の日はたいがいの場合、体調が悪くなるし、暑いのも得意ではないから、梅雨の後に待ち受ける夏に関しても、乗り越えられる自信は毛頭ない。
そこで、そんな憂鬱を吹き飛ばすために魔法の飲み物を作ることにした。その名も梅ジュース。ネットで見かけてずっと作ってみたかった梅ジュース作りに、ついに挑戦してみたのだ。もともと梅干しも梅酒もカリカリ梅も梅シートも、梅とつくものはなんでも大好物。
スーパーで青梅が特売で売っているのを見かけて、「ここで作らない手はない!」と思い立ち、迷わずレジへ持っていった。
さて、そんな愛しの梅ジュースだが、作り方は簡単。まず、梅のヘタを取って綺麗に洗い、乾かす。そして、消毒した保存瓶の中に氷砂糖と梅を交互に入れていくのだ。そして、冷暗所で保管しながら、毎日2〜3回ゆらゆらと瓶を揺らして中身を混ぜ、砂糖を溶かしていく。1ヶ月程混ぜつづけ、砂糖が完全に溶けて茶色く色づき、梅がシナシナになったら、完成だ。
最近は在宅仕事の合間に、物置に置いた梅ジュースの瓶のもとを訪れては、心を踊らせながら、瓶の中身を踊らせている。
約1ヶ月後に大好きな梅ジュースが待っていると思えば、ジメジメとした梅雨の季節もきっと乗り越えられるはずだ。字面だけで見ると、梅を楽しみにしながら、梅雨に苦しめられるのは、なんだか皮肉な気がするが。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
ふらりと訪れた池が、あまりに美しくて、まるでモネの睡蓮のようだと思った。
(撮影・Canon EOS Kiss M2 )
印象派の画家であるモネは、自宅から見える池の絵を250枚も描き、シリーズ作「睡蓮」とした。それらは晩年までの30年間をかけて描かれ、特に彼が白内障で苦しんでいる間に多くの睡蓮が生み出されたらしい。彼にとって、死ぬまで描き続けたその池は、一体どんな存在だったのだろうか。
(撮影・FUJIFILM X-T30)
そろそろ紫陽花が満開の時期と聞きつけて、近所の紫陽花スポットに立ち寄ってみた。
期待に胸を膨らませながら覗いたものの、どうやらそこは日当たりが悪いらしく、満開とは言えない状況。
ちょっとガッカリしながらも、ちらほらと咲き始めている花も見受けられたので、来たる紫陽花の時期に向けて、練習を兼ねて撮影してみることにした。
実は、以前に知人から譲り受けたオールドレンズがあったので、それで紫陽花を撮ってみたかったのだ。オールドレンズを使うのは初めてで、最初はなかなかうまくいかなかったが、慣れてくると動かすのも楽しくなってきた。
普段使っているレンズとは違う、水彩絵具をぼかしたようなボケが好みで、新しい写真の楽しみ方を発見した気がする。紫陽花が満開になるまでに、もっと練習を重ねたい。
(撮影・FUJIFILM X-T30)
こちらもオールドレンズで撮影した写真だ。
古いレンズだと動物はどう写るのかと気になったので、自宅の猫にモデルをお願いしたのだ。
実際に撮ってみると、ふかふかの毛をキレイに写してくれていて、びっくり。透明の瞳のツルリとした質感も気持ちよかった。
オールドレンズ、ハマってしまいそうな予感がする。
撮影・文 目次ほたる
<プロフィール写真/撮影・中山文>
https://twitter.com/nkyn_photo