vol.15「もしかしたら夢だったのかもしれない」
8 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、15回目は「もしかしたら夢だったのかもしれない」です。
vol.15「もしかしたら夢だったのかもしれない」
8 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、15回目は「もしかしたら夢だったのかもしれない」です。
わたしは、いつからだっただろう、このコラムを書き始めてからかな、記憶、過去について考えることが多くなった。縋り付くとかそういう意味ではなく。
単純に面白いなって感じ。
たまに過去の出来事を思い出すときに「もしかしたら夢だったのかも」って思うことがあるから。
でも写真が残ってるから実際にあったということを感じられる。
じゃあ写真に残ってないことは?・・・もしかしたら忘れてるのかもしれないし、忘れてることさえ実感できない。
以前、「写真を撮らないとなかったことと同じだから」という言葉を聞いた。
この言葉は衝撃的だった。そのときはなんて悲しい言葉なんだろうと受け取ったが、今この文章を書きながら、ある意味人間の本質をついた言葉なのかもしれないなと考えている。
ふと思い立って自分のカメラロールで記憶テストをしてみた。
5年前まで遡った。
1万枚以上あった。
「いつ、誰といて、どこで、どのカメラで、なんで」撮ったか。この5つのうち1つもわからない写真はこの写真しかなかった。どの写真を見ても何かしら思い出せる。
怖いくらいに。つい数秒前まで忘れていた出来事を思い出せる。
こんなただの水が入ったグラスの写真だって「4年前の秋、友達を待っている時、京都のカフェで、iphoneのカメラで、カフェのテーブルが真っ黒で水の透明度が綺麗だと思ったから」と全部思い出せてしまう。この写真を撮ったことさえ忘れていたのに。
一気にいろんなことを思い出して胸の奥の方がひりひりする。
バスケ仲間とバスケの練習後に飲んだお決まりのワインとか
あの子とはじめて行ったカフェ
よく遊びに行ってた家の近くの公園
全部リアルで全部ちゃんと残ってる。
いつか、朝起きたら、全部夢でしたってなってほしくないような現実は写真に残しておいて、記憶を蘇らせたい。
撮影・文 彩雪