vol.19「春の思考」
6 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、19回目は「春の思考」です。
vol.19「春の思考」
6 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、19回目は「春の思考」です。
春が駆け足で過ぎ去っていく。
いつもなら誰もいないような場所が賑やかになったり、パッと前を見たら広がっている明るい道のりの雰囲気だったりが好き。
桜が咲けばなにかが始まるような気がした。
桜が咲けばなにかが変わるような気がした。
春が来るからなにかを終わらせなきゃと思っていたし 、春が来るからなにか準備しなくちゃと思っていた。
全部、全部、春が始まりで、春が終わりだと思っていた。
もし夏が1年の始まりだったら、どうかな。
象徴するものは、ひまわりかな。
こんなに目には見えない何かを期待して、毎日を過ごしていたかな。
期待するのは自分自身にだけで良いし、自分自身にでさえも期待しすぎない方が良い。
どうせ誰にもわからない未来のこと。
決められたことに流されているだけだ。
普通はとか、一般的にはとか、常識だからとか、誰かが決めた基準に従ってるだけだ。
誰かの世界で生きていたいわけじゃないのに。
なにをするにもいつからでもいい。
そうしてみたいと思ったタイミングがいつだってベストタイミング。
桜が駆け足で散っていく。
まだ今年は桜の写真をあまり撮れてないからもう少しだけ待ってほしい。
自然と上を向いて歩くような毎日がもう少し続いて欲しい。
何かを捨てては何かを得る。仕事、物、人間関係。捨てることは勇気がいるけれど、『もったいない』っていう感情に引っ張られる方がもったいない。質の良い空白を作ってあげないと良いものも入ってこないっていうから。
きっかけが必要なら春を使っても良いのかも。あまのじゃくにならずにね。
もっとシンプルに自分が豊かになれるように。
「∮とかnを∞に発散」とかいう、普段使わないような単語が自然と会話に組み込まれるようなお友達と久しぶりにあった。彼女とはもう何年も前に初めて飲み会の席で会って、すぐ意気投合して、その場のノリで次会う約束をして、口約束ではなくなって、今でもたまに連絡をとって会っては何時間も話続けられるような仲である。こういうただただ楽しい時間があると本当に生きててよかったとなる。豊かになる。
今まで通りいくと次会う時はきっと季節は変わっているんだと思うけど、また何ヶ月後かにあって、お決まりのようにやっぱあなたは最高だよって帰り道に連絡しちゃうんだと思う。
撮影・文 彩雪