vol.22「服と写真とアイデンティティー」
8 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、22回目は「服と写真とアイデンティティー」です。
vol.22「服と写真とアイデンティティー」
8 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、22回目は「服と写真とアイデンティティー」です。
この連載も22回目まできて、とても感慨深いです。
はじめの頃に書いたものを見返したりすると、ちょっと小っ恥ずかしくなったりするので、5ヶ月もあれば考え方っていうのは少なからず変わるんだな、と改めて感じました。
昔見た映画を今見たら、耳に飛び込んでくる言葉が違っていたり、昔読んだ小説を今読んだら、角を折るページが違っていたりする。
それと一緒で、撮る写真もきっと変わってくるんだろうと思う。
写真を撮ることが趣味になって、人よりもキョロキョロしながら道を歩いたり、わざわざ写真を撮るためだけに遠出したりするようになったりしはじめたあの頃は、とにかく写真にも”自分らしさ”がほしいと思っていた。
それは写真だけにとどまらず、着る服などにも反映していた。
着る服というのは「自分とはこういう人間である」ということを周りに掲示するものだと思う。第一印象は、はじめて会ったときの服装によってもかなり左右される。きっとわたしがフェミニンなワンピースを着ていたらおとなしそうな性格に見えるだろうし、逆にマニッシュなセットアップを着ていたら気が強そうに見えるだろうし。
プチプラを着こなすであったり、着回し上手であったり、色使いが上手であったりと、お洒落とは、個人個人の価値観だと思う。
そんな中でわたしは、「個性的な内面を引き出す」がお洒落だと結論付けていた。独創的なふりをして、そうして内面までちょっと変わった面白みのある人間になれれば本望だと思っていた。
だから当時のわたしはちょっと変わったデザインの洋服を好んでいたのだと思う。
今はその頃とは環境も思考も写真も服装も違う。
内面が外見に出るとはこのことかもしれない。
もちろん今でも『アイデンティティー』を尊重はしているが、そんなことより何より、他人と比べて尖ってしまうのではなくて、自分の直感を信じて、自分が好きなもの、こと、人、に敏感になれることの方がずっと大事だと気付いた。どんな在り方でも本当は誰しもがそれぞれ個性的なんだよなってわかってから、わたしの写真もまあるくなった気がする。
撮影・文 彩雪