vol.36「ふるさと 入善町」
10 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、36回目は「ふるさと 入善町」です。
vol.36「ふるさと 入善町」
10 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、36回目は「ふるさと 入善町」です。
わたしは富山県の入善町というところで育った。隣の家では鶏やクジャクを飼っているくらいのどかで、あたり一面田んぼで囲まれている。
小学生の頃は夏休みになると、朝一から地区で決まっている場所に集まってラジオ体操をした。当時はこのために早起きするのが本当に嫌で嫌で仕方なかったが、今となっては自ら進んでやることだってあるから変わったなあと思う。学校にあるプールで遊んで、帰ってきたら縁側でスイカを食べた。入善町にはジャンボスイカというラグビーボール型のとてつもなく大きいスイカがある。だからとてもスイカは馴染みが深くて、大人になった今でもこの時期になるとよくスーパーで買って食べている。
でもやっぱりスイカは1人で食べるよりみんなで囲むのが1番良い。
あ、それと、当時入っていたバスケットボールクラブには地獄のような夏合宿があって、今もなおそれが人生で1番キツかった思い出だ。そうそう、その合宿の前に母と大喧嘩したことも覚えている。
中学生になると1日部活動なんていう日も多くなり、バスケットボールに明け暮れる毎日だった。だから中学生の頃の夏休みについて思い出そうとしたけれど、部活以外の記憶がまるでない。あの蒸し暑い体育館、隣で男バスが練習していたこと、吹奏楽部の演奏が聞こえてきていたこと、部活のあとピロティーと呼ばれる駐輪場で友達と話してから帰ったこと・・・。他の思い出が薄いのではなくて、部活の思い出が濃すぎる。一つの目標に向かって、それを中心に生活が回って、 悔しいも嬉しいも辛いも楽しいも全部経験した。でも振り返ったら笑ってたことだけ覚えていて、 ふと思い出すと思わず泣き出してしまいそうな思い出。あの経験をもう1度したい、部活みたいなことをしたい、という思いが、わたしにとってのワクワクの基盤にあると思っている。
そんな学生時代を過ごしたわたしの故郷、入善町。
前置きが長くなったが、今回は 入善町×夏の最強タッグコレクションをお見せしたい。
小さい頃はこの景色を見れるのが当たり前で、むしろ都会に憧れていたのだが、今となってはこの空気感が恋しくなることが多々ある。
こんなふうにのびのびとすくすくと育ったことを忘れずに、
これから先の人生も、
多分焦ることも急ぐことも、
時には無意識に人と比べてしまったり、
自信が10%くらいになったり、
続けることを諦めそうになったり、
いろいろあるんだと思うんだけど、
わたしの知る世界の中にはこんな素敵な場所があって、
いつでも足を運ぶことができるって、
それを知っているだけでも、
東京で頑張る大きな力になる。
わたしはこの町が好きです。
撮影・文 彩雪