vol.39「愛で溢れた写真たち」
13 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、39回目は「愛で溢れた写真たち」です。
vol.39「愛で溢れた写真たち」
13 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、39回目は「愛で溢れた写真たち」です。
『あぁ、これが写真を撮る理由なんだろうな』
とわたしは今、ひしひしと感じている。
母は昔からよく写真を撮る人で、その写真をアルバムにまとめてくれていた。
先日実家に帰ったときに、小さい頃の写真を見せて欲しいと母にお願いした。
わたしが想像するよりも多く用意されたアルバムの数にまず驚いた。
久しぶりに開く画面上ではない『アルバム』。
全部見ていると日が暮れるのでいくつか抜選して見ようと思いつつ、過去の記憶を辿ることを始めた。
まるで『この時間があったことを忘れたくない』
と囁くような写真ばかりだ。
後ろの背景とかみんながカメラを向いているかとか関係ない。この時間を残すための写真。
姉弟昔から仲が良い。今でもよく遊ぶし、相談にものる。
わたしはぐんぐん成長して小学6年生になる頃には164cmになっていた。この頃はバスケ、駅伝、ハードル、それぞれの大会に向けて毎日運動ばかりしていた。
親にも周りの人にも大切に育ててもらったんだなと改めて知って自然と涙が出てきた。
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家族で撮った写真もたくさんあった。
忘れてしまった出来事の多さに驚く。
どこかで見た、記憶は24時間後に74%忘れるという数字。
小さい頃の記憶は写真がないと思い出すこともない。
写真を見ても現実に起こったことだという実感もあまりない。
ただ、何故か『懐かしい』と心があたたかくなるのを感じるのだから、きっと頭の片隅では覚えているのだろう。
この愛で溢れた写真たちが証明してくれている。
気がついたら段ボール6個分のアムバムを全部見返していた。
もう外は暗くなっていて、晩御飯の時間だ。
久しぶりに家族で囲む食卓と、久しぶりに食べる母の手料理、話す内容は学校であったことの代わりに仕事の話とか東京での生活の話。
わたしがおしゃべりなのは母似で、話し方は父似だなとか思いながら、ゆっくりと時間を過ごした。
撮影・文 彩雪