vol.46「秋を理由にすればいい」
10 Photos俳優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、46回目は「秋を理由にすればいい」です。
vol.46「秋を理由にすればいい」
10 Photos俳優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、46回目は「秋を理由にすればいい」です。
秋。
これといった理由はないけど四季の中でわたしは秋が1番好きだ。
気温も空の色も、なんとなく街の雰囲気も落ち着いていてゆっくり過ごすことができる。
お昼の時間帯の太陽の光もどこか柔らかくて写真も撮りやすい。
だからわたしは毎年この季節にとりわけたくさんの写真を撮っているらしい。
今回のコラムはそんな秋色の写真とともにお送りする。
読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋、写真の秋。
季節を理由にしちゃうくらい欲に従ってもいいって秋が教えてくれている。
好きになった理由も何かを始める理由も自他への説明のためにわざわざ作っていたなあと思い知らされる。
何個も根拠を並べられるより理由のないことの方が信じられるっていうパターンも実は多かったりするのにね。
『論理的に考えた結果、1番大切なのはその場の感情だと思うよ』って言ってた子がいたな。面白い言葉選びをする人だなって印象に残っていて、疎遠になってしまった今でもたまに思い出す。
例えばこの写真はひと目見た見た瞬間に自画自賛するくらい好きだった。理由はない。ただ好きだった。2017年に撮って今もなお自分のLINEのバックグラウンドにしている。一目惚れの感性は大事にしたほうが良いらしい。
人によって写真の好き嫌いが違うように、人によって食べ物の好き嫌いが違うように、人によって人の好き嫌いが違うように、感性は人それぞれっていう、当たり前のことを忘れがち。だから他人の好きを否定するのはナンセンスだし、自分の好きだという感情にはもっと素直になってあげたい。
そうだとしても、好きなもの、こと、ひと、多分出逢えてないだけでまだまだある。だから自分の”好き”を確定するにはきっと早すぎる。もったいないな、窮屈に生きてちゃ。
それにしても、こうやって写真を並べて見てみると、秋は下を向いて歩くのも悪くないなと思う。
最近特に季節の変わり目が曖昧なもんだから、つい先日までまだ夏のような気がしていた。これからきっとすぐまた寒くなってしまうと思うのだけれど、せっかくなのでこの秋の季節も十分に写真を撮って楽しみたい。
撮影・文 彩雪