vol.47「あまのじゃく」
12 Photos俳優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、47回目は「あまのじゃく」です。
vol.47「あまのじゃく」
12 Photos俳優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、47回目は「あまのじゃく」です。
今回は、今までのコラムでは書いたことがなかった、『一緒に過ごした時間を自分好みに切り撮る方法』をお伝えしたい。
というのも、わたしはたぶんとってもあまのじゃくで、そこにあるだけで綺麗なものをただ綺麗に切り取るのがあまり好きではなかった。
そもそも、実はわたしはひとりでいるときにあまり景色やご飯の写真は撮らない。(もちろん、アウトプットをしたくて写真を撮ろうと思って出かける時は撮るのだが)撮ったとしても、見返したときに何も感じなくて消してしまうことさえある。これはおそらくこの時間の中に特別な感情がないからだと思う。
けれども、大好きな人たちと一緒にいる時は、写真を撮りたいという気持ちになる。ただ、一緒に見た景色も、一緒に食べたご飯も、もらったお花やプレゼントも、少しの”わたしらしさ”をアクセントに加えて写真に残しておきたかった。
やっぱりわたしは写真を撮ることが好きなので、自分のお気に入りの時間を自分のお気に入りの写真として残しておきたかった。
例えばこの写真は、わたしが上京することを決めて高校数学教師としての最後の日を終えた約1週間後。関西を離れる前に友達と時間を惜しむように遊び、そのまま泊まった。そしてこれは朝ごはんに作ってくれたサンドイッチ。彼女は料理をするのがすごく好きで、毎回遊ぶたびにお菓子を作ってくれるような子だ。お花も好きで、家にはたくさんのドライフラワーがあった。
このコラムを書くためにいろいろ写真を見返してみたが、どうやらわたしは真上から撮るのが好きみたいだ。
本好きな友達とカフェに行った時の写真。毎日のように一緒にいて、お互い自由なので、よくこうやってカフェに行って別々の本を読んだ。話したくなったら話す。でも沈黙さえも居心地が良い。こういうことができる友達って本当に貴重だと思う。
少し足を入れて撮るのがテーブルフォトのお気に入りの撮り方。
東京に来て制作会社に入って、はじめて同じチームの方々と会社の近くでランチをした日。わざと全部入れずに撮るのもなんとなくおしゃれに見える気がする。
教員時代に生徒からもらったお土産。影と光を見つけたら使うしかない。
友達からお誕生日に黄色のキーケースをもらったので、同系色のものを並べてコーディネートをするように撮った。
桜の季節に新潟県に旅行に行って、たまたま立ち寄った公園が桜の名所だった。この頃は特に「写ルンです」にハマっていて、毎日持ち歩いていた。桜がカバンの中に入ってしまった光景があんまりにも春らしかった。自然の恩恵はしっかり受け取る。
海の日に『夏っぽいことをしよう』ってその日に決めて家を飛び出して4人で静岡の方まで行った。
夜ご飯にさわやかのハンバーグを食べたくて2時間待ったのも良い思い出。
いつも何気なく見ている景色をあえて下から撮ったり上から撮ったりするのも新しい顔が見れて好きだ。
こうやって並べてみると、たった一枚からたくさんのことが連想できる。
結局のところ自分の好きな写真はやっぱり楽しかったとか嬉しかったとかそういう時に撮った写真だ。
生まれ変わってもまた、この写真を撮ったときに一緒にいた人たちと出会いたいと思う。
撮影・文 彩雪