ゆらちゃんは２０２１年１月にたまゆらに来ました。

捕獲された時点で１０歳前後という高齢の猫さん。１０年ほど森の中で逞しく生きてきたのですね。

たまゆらに来る前も風邪をひいてしまってボランティア獣医さんのお家でお世話になっていたということで、元々身体は弱かったのかもしれません。

こちらに来てすぐ体調を崩してしまい入院。入院先でもどんどん悪化して二次診療病院へ。そこで原因を突き止めてもらい、一時は命の覚悟もするほどだったのですが無事に戻ってくることが出来ました。

戻ってくることは出来たのですが、慢性の鼻炎があり、たびたび苦しめられていました。

急に体調が悪化してしまうのでかかりつけが休診のことも多く、その都度開いている病院に駆け込んでいた中で、鼻炎の原因が折れた犬歯にあると指摘してくださった先生がいたのです。

その病院では歯科の設備がなかったことから別の病院を紹介していただき、そこでゆらちゃんは全顎抜歯をすることになりました。

手術をしてくれた先生によると、顎の骨と歯が融合していた部分もあり、一本一本削らなくてはならない大変な作業だったそうです。

手術当日はごはんを食べない子も多いという中、ゆらちゃんは病院のスタッフさんがびっくりするくらいの食欲を見せ、私のことを安心させてくれました。

その後は鼻炎も少し落ち着きを見せたものの、口内の炎症がひどいため食欲はやはり波があり、週に一度電車で１時間かかる病院でレーザー治療を受けていました。

午前中にお預けして夕方に迎えに行くというスケジュールで、ゆらちゃんもさぞ疲れるだろうに本当に頑張ってくれていたと思います。

他にも腎臓の数値が悪くなって皮下点滴が始まったりと、もう本当に色んな病院にお世話になっていましたが、ゆらちゃんはどの病院でも先生に可愛いと言ってもらえていて人が好きなだけでなく人に好かれる猫さんなんだなあとつくづく実感していました。

そして２０２１年１２月。

顎のあたりのしこりが気になり病院を受診したところ、リンパ腫との診断が。

余命３～６か月くらいと言われ、最後の闘病生活が始まりました。

猫の抗がん剤は人のように副作用が大きくなく、むしろ緩和ケアにもなるという話に少し安堵しましたが週に１～２回病院へ通い血液検査などを受け、日帰りまたは数日の入院での治療はゆらちゃんにとって大変なものだったと思います。

それでも通院を嫌がる様子がなかったのは、お世話になっていた病院の先生やスタッフの方がよほど治療に際して心を砕いてくださっていたのだろう、と本当に感謝の気持ちしかありません。

２月には驚くことに一旦寛解したもののすぐに再発。

そこからは段々薬の効き目も悪くなってきて少しずつ良くない状況になっていくのが分かりました。

１日３回の流動食と２回の皮下点滴、お薬も多い時で毎日５種類ほど飲んでいましたが、ゆらちゃんはとてもお利口さんでお世話に苦労することはほとんどありませんでした。

他の猫さんだったらこうはいかなかったかもしれません。

そして６月１９日に体調が急変。

かかりつけが休診だったため初診の病院へかけこみ一晩預かっていただきましたが、残念ながら翌朝息を引き取りました。

恐らくリンパ腫が神経系に移行してしまったのが原因と思われ、最後は先に意識が無くなっただろうからそれほど苦しくなかったと思うとの事。

ゆらちゃんの病気が発覚してからずっと、いかに苦しい辛い時間が少なくて済むか、それだけを心配していたので悲しみよりも先にホッとしたのを覚えています。

ゆらちゃんのお別れにはたくさんのお客様が来てくださり、本猫が埋もれてしまうほどのお花をいただきました。

人が大好きで、お客様がいらっしゃるとすっと傍に座って撫でられ待ちをしていたゆらちゃん。

その割には撫でられ方が気に入らないと容赦なくダメ出しをするお嬢様気質の猫さんでした。

病気が分かった時に静かに暮らせる場所に移してあげた方がいいのか悩みましたが、他の猫たちに甘えたり日向ぼっこしたりするのが好きなゆらちゃんはたまゆらに居る方が落ち着くだろうと、そのまま最後までたまゆらで過ごしました。

ゆらちゃん、たまゆらに来てくれてありがとう。

チェリオが待ってるから寂しくないね。今ごろ仲良く一緒にいるのかな。

しばらくそちらで楽しく暮らして、気が向いたらまた会いに来てね。

文・今場奈々子（たまゆら店長）

保護猫カフェたまゆら
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定休日：毎週火曜

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