vol.6サウナスナック「かなこ」にて2024年を振りかえる
7 Photosサウナライターとして活動する川邊実穂がお届けする連載「サウナで、わたしはわたしになる」。6回目は「サウナスナック『かなこ』」にて、2024年を振りかえるです。
vol.6サウナスナック「かなこ」にて2024年を振りかえる
7 Photosサウナライターとして活動する川邊実穂がお届けする連載「サウナで、わたしはわたしになる」。6回目は「サウナスナック『かなこ』」にて、2024年を振りかえるです。
少し大きなイベントが終わり、打ち上げもかねてサウナ忘年会をすることになった。
その時から、どうしても行ってみたいサウナがあって
「このサウナに行きたいのですが…」
とおずおず提案すると
「え、そこ、めっちゃ行きたかったところ!」
と盛りあがり、ほこっと嬉しい気持ちになる。
スケジュールアプリに「サウナ 忘年会 かなこ」と書きこむ。
青物横丁駅から徒歩5分。大通から細い小道を一本入ると、ひときわ真っ赤な扉が目に入る。ドアには「全日本スナック連盟推薦」のシールがぺたり。
ドアを開けるとベロアのソファに吊り下がるシャンデリア、重厚なカーペット。
そう、こちら入り口はスナックです。
「KANAKO」とプリントされたイカしたロンT(欲しい)を着たスタッフさんがお出迎えしてくれる。
「サウナスナック『かなこ』」ではスナックの渋懐かし空間の奥、「どこでもドア」のようなピンク色の扉の先に、サウナがあるという。
さっきまで昭和歌謡を聞きながらふんふんハミングしていた空気が一変。
あの〜、洞窟です。
私たち、急に洞窟に迷いこんでしまいました。
ネイティブアメリカンフルートの、和にも中東にも感じられる音色に包まれながら、これまた異国情緒漂うお香の香りに脳が混乱している。
私たち、いつの間にこんな遠くに来ちゃったの?
洞窟にいるのだから、暖をとらねば。というマインドでサウナへ。
肝心なサウナ室の写真が撮れてないのが申し訳ないのですが、「撮影せねば観念」が自然消滅するような、これまたとても良いサウナでして。
まずもって言えるのが、この洞窟世界観を見事に盛りあげてくれるサウナということ。
例えばヒーターのメーカー名が見えない(そこ?)。
「人工物っぽいものを取り除いている」と教えてくれたスタッフさんのお言葉の通り、正対称に置かれたサウナストーブはめりめりと地面に埋まっていて、ストーブ感が薄い。
そこにさながら座布団のように置かれた正方形のタオルたち。
We are Japanese、自然とあぐらをかきながらフーッと一息つきたくなる。
ロウリュ用の桶にはヴィヒタが漬けこまれ、これまた白樺の自然な良い香り。
「大好物だ〜」とみんなもご満悦。
この薄暗いライティングにも、なんだかここが私たちの寝ぐらのような、そんな気概すら湧いてきます。
あとここね、座る場所に段差がないんです。
それの何が良いかってね〜寝っ転がれるんですね〜。
で、私はこの「かなこ」体験で気がついたのですが、いわゆる「寝サウナ」ができる場所=ベンチの幅が広い、というのがほとんどだった。
そうすると自分の身体の幅とベンチ幅を重ねるようにピタッと収める。
そんな休まり方をしていたわけだけれど。
「かなこ」のサウナは段差ゼロのフルフラットなので、手足をバーンと広げてOKだし、体を左右に動かしてゴロゴロ全身運動しちゃってもいい。わ〜これ自由だな〜最高。
写真もないのにサウナの話どんだけ長いねんって声が聞こえてきたので、そろそろ水風呂行きましょか。
水風呂は鉄分が少し混ざった地下水だそう。
水道水じゃないよ、ここは洞窟だからね。
一人入るだけで、ザブザブ溢れる水量が豪快で、自分の内なる野性が密かに喜んでる。
近くに手桶とか置いてたら遠くまで流れちゃいそうだな。
見てみたい。
ちなみに水風呂の奥を進むととんでもない仕掛けがされてるのだけれど・・・
これは絶対に現地で見た方が良いので、どうぞお楽しみに。
さぁ、洞窟の奥で休まりましょう。
ここのタオルが普通のバスタオルよりもまた大きくて(大切なポイント)ちょっとしたおくるみ感があって喜ばしい。
みんなで大の字に寝っ転がりながら天井を見あげて、ゆらゆら動くキャンドルライトの灯りにぼうっとする。
ここでは不思議と人生の話をしたくなる。ロマンを呼び起こす力あり。
はじめはみんなが足並みをそろえてサウナに入っていたけれど、次第に各々のペースでサウナを楽しみ始める。
この「もう自分が求める気持ち良さに、身を委ねずには居られませ〜ん」って感じに輪が乱れていくのが、私は結構すき。
2時間のサウナはまさに「あ」っという間だった。
スナックでご飯を食べるのは初めての経験。サウナ前に注文しておいた出前中華たちが私たちのためにズラッと並んでいた。
あにこんな幸せがこの世にあらんや。
「かなこ」ではぜひ、「よしこ」餃子を注文いただきたい。
空間美と味覚のデュエットをお楽しみいただけます。
キンミヤソーダ割りを頼んだら気を利かしてくださって、濃ゆ目シークワーサージュースを割り材として添えてくださった。ショットに注がれたシークワーサージュースを、自分の好きなタイミングに合わせて注ぐって、なんだか大人の嗜みだ。
今年もいろんなサウナに行って、サウナが自分にたくさんの「新しい」をくれた。
そして、私が徒然と考えていることも、たくさん書かせていただいた。
「書く」とはふわっとした感情に輪郭をつけて、
自分の解像度を上げること。
そして血肉に刻むことだと思っている。
それは定期的に発信できる場があったからこそ、できたことだ。
そう思うと2024年の私は思い出がしっかりと身体に肉づき、
たっぷり肥えられたなと思う。本当に感謝です。
と、忘年会らしいことも考えていると
「かなこ」にはサウナとスナック4時間貸切・飲み放題付きなんて、
ますます「かなこ」沼にはまってしまいそうなプランがあるそうだ。
「2025年、『かなこ』を貸切したい!」
っていう来年の目標もできてしまいました。
写真は全て「サウナスナック『かなこ』」で撮影。
ご予約はこちらからhttps://coubic.com/kanako-japan