「今年注目のサウナはどこですか？」と聞かれると食い気味に「JIKON SAUNA -TOKYO-（略称　JIKON SAUNA）！」（以下、JIKON SAUNA）と答えている。
1月末に日帰りでお伺いした時の体験があんまりにも居心地が良かったので、どうかみんなにも訪れてほしいのだ。
たくさんの人とJIKON SAUNAに行く予感がする、そんな2025年である。

 

 

そもそもJIKON SAUNAはサウナ好きとしての夢を叶えてくれた施設だ。
それは「サウナづくりに関わること」。

JIKON SAUNAのサウナ室は「アースバック工法」で造られている。
何十個もの土袋を細く長く、ソーセージのように積みあげるこの工法は、老若男女、誰でも製作できるのもポイントだ。
そんなサウナづくりのボランティアには、総勢300名以上が参加したという。

私も2024年の夏、ボランティアとして参加させていただいた。

ちなみにこの日に着ていたTシャツは、同じくアースバックサウナがある福島県のサウナ施設「発達」のもの。

アースバックサウナへの敬意を、ささやかながら表現してみた。

立派な門構えをくぐり抜けて広がる中庭は作業場になっており、木板やブルーシートが転がっていてまだまだ製作途中といった趣き。
母屋も宿泊施設としての姿は未だない。
だがここがいずれ、1日1組限定・一棟貸しのサウナ付き宿泊施設になるのだ。

ボランティアメンバーも二手に分かれて早速作業を開始。午前中はサウナ室内を担当した。
サウナ室の暖かさを持続させる生命線ともいえる断熱材を、１つ１つ、木枠のサイズに合わせて丁寧にカットしていく。

 

 

「うちのサウナ室、断熱材が入ってるんです」

 

今まで取材でそう語ってくださったオーナーさんに、私は謝りたい。
いつも「あぁ、断熱材！それはあったかいですよね、良いですね〜！」くらいの気持ちで聞いていたのですが、私、断熱材を入れるその大変さと手間についてを本当になんにも分かってなかったんですね……

ゆるやかなアーチを描いたサウナ室の天井の木枠はミリ単位で一辺の長さが異なるので、都度の計測から事はスタートする。
断熱材のカッティングは若干でも大きく切ってしまうともちろん木枠にハマらないし、小さく切って隙間が生まれてしまうのも言語道断。

 

結局、私の不器用すぎる技量では、2時間ほどで3枚程度しか進められず、逆に足手まといだったのでは……としょげるほどだった。

私たちが当たり前のように恩恵を受けていたサウナ室のあの暖かさには、これほどまでの手間暇+愛情ががかかっていたのか……！

お昼はさながら合宿のように、ボランティアさんも職人さんも一緒になって「いただきます！」と唱和。
全く知らない人同士がサウナをきっかけに繋がって、汗をかきながら一緒にサウナをつくる。そして、同じ釜のメシを食う。
それはなんともピースフルで、シンプルで、純粋に楽しい時間だ。

身体をこれほど動かしたのもたいそう久しぶりで、山盛りだった中華丼もあっという間に平らげてしまった。

午後は、母屋へと持ち場が変わる。
小さなハケを使って、屋根の木材をウォールナット塗料で丁寧に塗っていく作業だ。
柱と屋根とで塗料の色を僅かに変えるこだわりが、柔らかなコントラストを生んでいく。

 

サウナを楽しみ、廊下でゴロンと寝転がった誰かが、きっとこの屋根を見つめるんだろう。
そう思うと、そのひと時が少しでも良いものになりますようにと、自然と想いも込もる。
次第に重たくなってきた腕をグルッとひと回しして、私はもう一度ハケを握り直す。

「これからこの庭を手入れして…水風呂は井戸水を組み上げて岩水風呂にするんです。」

 

そう語ってくれたのはJIKON SAUNAを運営する株式会社HIDANE 代表のカンちゃんこと山本幹太さん。

カンちゃんの中では、もう完成した絵姿がはっきりと見えている。
だからこそ、発する言葉には確信のこもった力強さが感じられた。

 

 

2025年1月21日、カンちゃんから聞いた言葉以上の世界観が現実になったのだけれど、それはまた後日、ゆっくりと語りたい。

 

 

この日流れた汗の感覚がいつまでも忘れられないのは、

自分のためだけでなく、誰かのためにかいた汗だからだろう。

 

 

たくさんの人の手から伝わるその温もりが、サウナをつくっているんだ。

 

写真は全て「JIKON SAUNA -TOKYO-」で撮影。

HP：　https://jikonsauna.com/tokyo

住所：東京都青梅市駒木町2丁目387