vol.12 「このサウナ、一緒に行かない？」
7 Photosサウナライターとして活動する川邊実穂がお届けする連載「サウナで、わたしはわたしになる」。12回目は「このサウナ、一緒に行かない？」です。
vol.12 「このサウナ、一緒に行かない？」
7 Photosサウナライターとして活動する川邊実穂がお届けする連載「サウナで、わたしはわたしになる」。12回目は「このサウナ、一緒に行かない？」です。
人を誘うのがどうにも苦手な私も、サウナがあればこんなにも軽やかに連絡をとれるのは、何故。
それはサウナであれば「相手も間違いなく幸せな時間を過ごせる」という強い確信が持てるからかもしれない。
例えば、行ってみたいお食事処があるとする。
でも、相手がその料理が好きか、興味があるか、行ってみたいかまでの本心はわからない。だったらひとりで行って、良し悪しを自分ひとりで噛み締めたい。
でもね、サウナは違う。
まず、誰かと一緒にサウナに行っても、相手は相手の尺度で楽しめる余幅がある。
逆に「次は水風呂です〜」と一緒に移動するなんてことはないわけで。
それは声をかけたゆえのちょっとした責任を感じずに済む理由の一つにつながる。
10数人を集めてサウナに行ってもあまり幹事感を出さなくて良くて、一利用者として存分に楽しめるのだ。だから企画者としてのハードルも低い低い。
暖簾をくぐったその先は治外法権。誰にも強制されない時間が待っているのは一人で行くときも誰かと行くときも変わらない。
そうやって、
「じゃあ、また1時間後に」。
とお互いのサウナワークを尊重し合う姿勢はとても健全で、誇らしい関係性だと思える。
そして面白いのが、いろんなサウナに足を運ぶうちに
「このサウナはあの人と行きたいな」
というボンヤリとした妄想も浮かぶようになってきたことだ。
私がいろんなサウナに足を運んでいるのは、相手にぴったりなサウナを提案するコンシェルジュ力を身につけて、一緒に過ごす時間を最大限楽しみたい！ と思っているところもどこかある気がする。
なのでサウナを知れば知るほど、一緒に遊びに行く友達も、ゆるやかに増えていく。
たとえば。
私の大好きな遊び友達に「サカレーさん」という方がいる。
「カレーは食べるサウナ」が信条で、インスタグラムで仲良くなったサウナとカレー巡りをライフワークにされている方だ。
サカレーさんは、銭湯サウナが似合う。
私たちが遊ぶ時は「食べたいカレー＞サウナ」で場所が決まるので、主役であるカレーを引き立てるような、日常に寄り添う銭湯がしっくりくるのだ。
実際にご一緒したサ活では、幡ヶ谷にある「ウミネコカレー」でお腹を満たした後、最寄りにある銭湯・観音湯へ向かった。が、その日はまさかの臨時休業で、急遽ルートを変えてコーヒー片手に大黒湯まで歩いて向かったのは、とても充実した１日だった。
サウナに蒸された後に、コインランドリーがゴゥンと回る音と渋すぎ年代ポスター＆サインに囲まれながら、風に吹かれたサウナ上がりは至高の極みだった。
はたまた同年代の女性サウナー・missuさん。
自分の言葉をもって話すかっこいい彼女とはサウナ室の中でもたっぷり話したいので、個室サウナが良い。この間は王子にあるプライベートサウナ「PRIVATE SAUNA maa & GROCERY」に誘った。
徒然なるままに悩みを聞いてもらって、サウナを終える頃には気持ちもスッキリさっぱりして、その後日高屋で食べたラーメンはとびきり美味しかったなぁ。
そして取材で一棟貸サウナや貸切サウナに行くと、思い出すのは高円寺サウナ部のみんなや会社のサウナ部のみんな、他社のサウナ部の皆さんだ。
久しぶりに連絡を取るとしても、「良いサウナがあるから」という引きは、相手を誘う上での十分すぎる口実になる。
日帰りでも泊まりでも、これからもたくさん遊んでほしい。あとよろしければ誰か車を出してほしい。弾丸日帰りサウナ旅もしましょう。
2025年も早半分が終わろうとしているが、まだまだ行きたいサウナと会いたい人が両手で足りないほどいる。
常にスケジュールと睨めっこしながら予定を組み立てているが、その口元はいつもにんまり笑っている。
【TOP画像および最終画像】
■Quiet Storm Nasu
住所：栃木県那須郡那須町大島1185
https://www.instagram.com/quietstormnasu/
【その他・紹介したサウナ（写真の掲載順）】
■SAUNA SAKURADO
住所：福岡県福岡市博多区綱場町9-5
◾️JIKON SAUNA TOKYO
住所：東京都青梅市駒木町2丁目387
■sauna MYSA
住所：静岡県静岡市葵区足久保口組舟沢16201
■大黒湯
住所：東京都渋谷区西原3-24-5
https://www.1010.or.jp/map/item/item-cnt-357
■PRIVATE SAUNA maa & GROCERY
住所：東京都北区王子1-17-1 飛鳥山スカイハイツ1F
■阿多古屋
住所：静岡県浜松市天竜区西藤平２８８番地の１
▽かわべ・みほ ドラマ『サ道』でサウナにハマり、約４年半で全国２２０箇所以上の国内サウナを巡る。会社員のかたわらサウナライターとしても活動し、2024年1月に『絶景サウナ旅』（三笠書房）を刊行。執筆の他TVやラジオ、トークイベントに出演し、サウナの魅力を発信している。 週末は所属する高円寺サウナ部員とのサ旅や、会社のサウナ部活動、ソロサウナで一週間の疲れを癒すのがモットー。夢はサウナ発祥の地・フィンランドのスモークサウナに入ること。
