vol.49「モノクロ写真に魅了される」
10 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、49回目は「モノクロ写真に魅了される」です。
vol.49「モノクロ写真に魅了される」
10 Photos女優・カメラマンとして活動する彩雪が、日常で見つけたドキドキを写真を通してお届けする連載、49回目は「モノクロ写真に魅了される」です。

わたしたちが見えている色というのは、動物と人間、さらには人によっても違うらしい。
動物でも簡単にいうとモノクロの世界で生きているものから、人間よりも多くの色が見えているものまでいる。
研究者の知人によると、人間間のことでいうと感覚的な意識や経験によって変わってくるらしい。
だとしたら、わたしの見えているこの世界と、他人が見ている世界は厳密にいうと違うということになる。
例えばもっと大袈裟にいうと友達と一緒にカフェに行っても同じ色で見えてるとは限らないのだ。
そう考えると、写真を見た時だって一緒だ。そもそも、撮った写真と実際に見た景色というのは全然違う色になる。
プリントするともっと違ってくる。

それなのに見る人によって違ってくるなんて現象まで入れてしまうと、なにが事実でなにが虚構なのかさえ分からなくなってくる。
そんなわたしの思考が連想ゲームをした結果、「この世界が仮想現実(ゲームみたいなもの)であるかどうか」みたいなところにまで行きついてしまったのだが、これは小さいころに考えたことがある人もいるのではないかと思う。
この世界がシュミレーションかどうかなんて考え出したらキリがないけれど、わたしの出した答えは”臨機応変にそうであることにする”だ。(笑)
できるだけ自分が楽しくポジティブに生きられるように。

24時間の使い方って本当に自分の自由で、それは職業を選ぶ時点で始まっている。
学生時代は8時から20時くらいまでは学校にいたのでそこから帰ってごはんを食べて勉強して寝る、を繰り返していた。
でもそれも自分で選んだ人生だったし、それはそれで楽しかった。
とにかくやるべきことはわかっていたのでそれをいかに効率よく、よりよくやるか。
学校を離れた今、まずやりたいこと、やれることを考える。から始まる。それがないと進まない。
休みの日、ただただ何もせず過ごしていても24時間あっという間に過ぎる。

毎日飲み歩いてるんじゃないかと思うようなあの人は、その時間以外は一生懸命仕事をしていたし、社長になったあの人はみんなが遊んでいる間いろんな人と会っていろんな経験をしていた。
スポーツ選手になったあの人は昔から誰よりも練習し全力を注いでいたし、スタイルが良くて綺麗なあの子は毎日筋トレ、食事管理、規則正しい生活週間をしていろんなものを我慢していた。
SNSで有名になったあの子は毎日毎日諦めずに時間をかけて投稿するものを制作していたし、素敵な音楽や映像を作っているあの人たちも寝る間を惜しんでそれに向かっていた。

自分の理想が現実になるには、何を”幸せ”と思おうとそれが手に入るようにそこまでをチョイスするのは自分なのだ。
そして生き方によって世の中の見え方が大きく変わってくると思う。


話は逸れたが、せっかく書いたのでこのまま進めたいと思う。
唐突に話を戻すが、色の話にちなんでモノクロ写真について少し書きたい。

わたしが写真を撮り始めたのはモノクロ写真がきっかけだった。
vol.29『わたしの人生を変えた3冊の写真集』でも紹介した『KARTE』がそれだ。
モノクロで同じ景色であることには変わりはないのだが色の濃さや構図の違いで見える表情が変わり、生々しさに圧倒された。
これは不思議な感覚だった。わたしが普段見ている世界は色のある世界なのに、モノクロの方がとても臨場感があるのだ。
空の青や黄金色、自然の緑、服や部屋や街のカラフル、全てなくなっている世界だからこそ見えるリアリティ。
イメージしながら読み取る、まるで小説を読んでいる時に似た感覚だった。
こんな写真を撮るにはきっととても高度な技術とその空間への愛が必要だと思う。

わたしは自分のとっておきのモノクロ写真をまだ、撮れていない。
カメラが好きだと本当に、楽しみが尽きない。

撮影・文 彩雪